基礎知識

懲戒解雇とは?懲戒解雇される5つの代表例と、再就職への影響を解説

懲戒解雇と普通の解雇は何が違うのか、そしてどんな場合に懲戒解雇されてしまうのか。

懲戒解雇」という言葉自体は知っていても、内容を詳しく説明できる人はあまり多くないと思います。

そこで今回は、懲戒解雇の内容や懲戒解雇されてしまう主な原因、再就職への影響などについて解説していきます。

懲戒解雇とは?

懲戒解雇」とは、労働者が違反行為をした時に会社から課されるペナルティの一つです。

「解雇」という言葉通り、簡単に言えば「会社側が労働者を一方的にやめさせること」を意味しています。

しかし、実は解雇にも「整理解雇」「普通解雇」「懲戒解雇」の3つのパターンが存在します。

まずは、この3つの解雇の違いについて確認しておきましょう。

整理解雇・普通解雇・懲戒解雇の違い

整理解雇・普通解雇・懲戒解雇のそれぞれの違いは次の通りです。

  • 整理解雇・・・会社の経営不振など、経営上の理由による解雇(=リストラ
  • 普通解雇・・・「勤務成績が著しく悪い」「けがや病気で働けなくなった」など、経営上の理由以外の理由による解雇
  • 懲戒解雇・・・「社内の秩序を著しく乱した」「犯罪行為を犯した」など、会社に大きな損失をもたらしたことを理由にする解雇

上記のように、懲戒解雇とは「会社に対して故意に多大な損害をもたらす事態を招いた」といった場合に適用される、労働契約の解除のことです。

また整理解雇と普通解雇の場合、会社は解雇する「30日前」に解雇予告をする必要がありますが、懲戒解雇の場合は「即時解雇」が可能となっています。

このように、会社における3パターンの解雇の中でも、懲戒解雇は最も重い処分であると言えるでしょう。

会社の「就業規則」と懲戒解雇の関係

会社側が労働者の懲戒解雇を実行する際、それに関して「就業規則上に明記があったかどうか」が重要なポイントです。

例えば、労働者が会社内で横領を行なっていた場合、それは「会社に対して故意に多大な損害をもたらす行為」であることには間違いありません。

しかし、その理由で懲戒解雇を行うには、就業規則上で「刑事犯罪行為をした者は懲戒解雇とする」とあらかじめ明記されている必要があるのです。

とくに従業員が数名だけといった会社の場合、そもそも就業規則を作成していないケースも少なくありません。

万が一の事態に備えて、会社側は就業規則の内容も早めに精査すべきだと言えるでしょう。

懲戒解雇で退職金は支払われるのか?

懲戒解雇で会社を離れる場合、退職金は支払われるのでしょうか?

これについて一律のルールはなく、退職金が出るかどうかはケースバイケースとなっています。

実際は、労働者が懲戒解雇されても仕方のないような行為を犯し、それにより会社に多大な損害をもたらしたと考えられる状況であっても、会社側は当然のように退職金を不支給にはできません。

なぜなら、その労働者の犯した行為が「これまでの勤続で会社に与えてきた利益や功績を全て抹消するほどの行為なのか?」という部分は慎重に検討しなければいけないからです。

そのため、必ずしも「懲戒解雇だから退職金は支給されない」ということではないんです。

その事案の重大さとこれまでの勤務内容・功績などが勘案された結果、退職金の不支給や減額などが決定されていきます。

どんな場合に懲戒解雇になってしまうのか?5つの代表例

それでは、実際にどんな行為が懲戒解雇につながってしまうのでしょうか?

こちらも各ケースごとの判断になるため明確な基準はありませんが、懲戒解雇になる可能性が高い5つの代表例を挙げていきます。

業務上の役職・地位を悪用した犯罪行為

まずは、「業務上の役職・地位を悪用した犯罪行為」を行なった場合です。

例えば、「経理担当者が会社のお金を横領していた」「営業部長が架空取引を作り上げて、その分の売上金を自分のものにしていた」といったケースが挙げられます。

このような行為は会社に金銭的な損害を与えるだけでなく、会社に対する大きな裏切り行為でもあります。

懲戒解雇の理由としては十分であり、内容次第では刑事事件として取り扱われることもあるでしょう。

会社の信用を著しく傷つけるような犯罪行為

窃盗や痴漢などの犯罪行為を犯した場合も、懲戒解雇が十分に認められる事案となります。

それが業務時間外の私生活上のトラブルであっても、その犯罪行為によって会社の信用が傷つけられるケースが考えられるからです。

例えば、タクシー会社で働いている人が、私生活上で飲酒運転で捕まった場合を考えてみましょう。

それがプライベートで起きたことであっても、その人が働くタクシー会社に対して不信感を抱く人が出てしまう可能性は十分にありますよね。

このように「犯罪行為によって会社の名誉が著しく害された」となれば、懲戒解雇としての処分が認められています。

重大な経歴詐称

会社の採用判断や、業務に大きな影響を及ぼすような「経歴詐称」をしていた場合も、懲戒解雇につながる行為です。

大学を卒業していないのに「大卒」と詐称していたり、保有していない資格を「取得済み」として会社に申告していた場合などがこれにあたります。

これらは採用後の仕事内容や給料などにも直接影響を及ぼす情報であるため、「間違っていた」では決して済まされない問題ですね。

長期間の無断欠勤

長期間の無断欠勤も、会社に対して大きな損害を与えてしまう迷惑行為です。

事前連絡も一切なく、欠勤中も全く連絡が取れないような状況であれば懲戒解雇の可能性は高いでしょう。

その後連絡が取れたとしても、そのような労働者とは信頼関係を築くことはできません。

セクハラ・パワハラ行為

セクハラやパワハラなどについては、一回の行為で即懲戒解雇につながるケースはあまり多くありません。

しかし、「強制わいせつ」に該当するようなセクハラ行為や、「恐喝」に至るようなパワハラ行為の場合は、職場環境に重大な悪影響を及ぼしたとみなされ懲戒解雇とされる可能性があります。

また、「何度注意してもセクハラやパワハラをやめない」という場合についても、懲戒解雇処分が認められる可能性は高いと言えるでしょう。

懲戒解雇が再就職に与える影響は?

もしも懲戒解雇されてしまった場合、その事実は転職活動に大きなマイナスを与えると考えられます。

なぜなら、懲戒解雇の場合は離職票に「重責解雇」と記載されてしまうからです。

離職票は転職先の企業から提出を求められるケースも多いため、それを見れば懲戒解雇を受けていた事実は簡単に伝わってしまいます。

また、転職活動の面接では、ほとんどの場合で「前の会社をなぜ辞めたのか?」という質問を受けることになります。

その場合も経歴詐称のリスクを考えれば、嘘の申告をせずに本当のことを伝えるしかないでしょう。

以上の点から、懲戒解雇された事実を隠しながら転職活動を行うことは非常に難しく、再就職においては不利になると言わざるを得ません。

万が一に備えて、会社の就業規則を確認しておこう

本記事で説明してきた通り、「懲戒解雇」はよほど重大な損害を会社に与えない限りは起こり得えないことです。

しかし、万が一懲戒解雇として処分されるようなことがあれば、その後の転職活動も不利な状況の中で進めていかなければいけません。

心配な方は会社の就業規則をチェックし、具体的にどのような行為が禁じられているのかを今一度確認しておくと良いでしょう。