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ニュースでも取り上げられることの多い、「老後の生活資金をどう準備するのか?」という問題。
一般的なサラリーマンであれば、厚生年金と退職金で生活資金をまかなうケースが多いですが、なかには「退職金が出ない会社」も少なくないようです。
そこで今回は、退職金がない会社で働くことは問題なのか、すでに入社している場合は老後に備えてどう対応するべきなのかを解説します。
退職金なしの会社はどれくらいあるのか?
実際のところ、退職金なしの会社はどれくらいあるのでしょうか?
厚生労働省から信頼性の高いデータが公開されていますので、まずはそれを確認していきましょう。
およそ「5社に1社」は退職金がない
実は、退職金制度がない会社は意外にも多いのです。
厚生労働省の「就労条件総合調査」によれば、退職金制度がある会社とない会社の割合は以下のようになっています。
- 退職金制度がある会社・・・80.5%
- 退職金制度がない会社・・・19.5%
このように退職金のない会社は全体の19.5%、つまり「5社に1社の割合」で存在していることになります。
「入社した会社に退職金制度がなかった!」という状況は、それほど珍しいケースではないことがこの調査結果から分かりますね。
企業規模が小さい企業ほど、退職金がない傾向が強い
先ほど紹介した「就労条件総合調査」をさらに見ていくと、「企業規模が小さい企業ほど退職金がない傾向が強い」ことも読み取ることができます。
従業員数 | 退職金制度がない企業の割合 |
1,000人以上 | 7.7% |
300〜999人 | 8.2% |
100〜299人 | 15.1% |
30〜99人 | 22.4% |
従業員が1,000人以上の会社では退職金なしの企業は「7.7%」しかありませんが、従業員が30〜99人の会社では「22.4%」もの会社で退職金制度が用意されていませんね。
このように、企業規模が小さくなるほど、退職金がない可能性が高くなることも理解しておきましょう。
退職金なしの会社に入社することは問題なのか?
退職金のない会社は「5社に1社」と、意外にも多いことが分かりましたね。
それでは、「退職金のない会社に入社することは問題なのか?」これについて考えていきます。
会社には退職金を支払う義務はない
まず前提として、「退職金制度を用意しなければいけない」というような法律は存在しません。
つまり、会社にはもともと退職金を支払う義務はなく、退職金制度を用意するかどうかはそれぞれの会社ごとで自由に決められるようになっています。
そのため、退職金がないからといって、それだけで「違法である」「会社として問題がある」ということにはならない点に注意しましょう。
ただし、会社ごとで定めている「就業規則」の中で退職金に関するルールが記載されている場合には、そのルールに基づいて確実に退職金を支払うことが会社側に求められます。
就業規則に退職金に関する定めがあるにも関わらず、退職金が出ない場合は「不当」とみなされ、会社に対して退職金の支払いを請求することが可能です。
退職金がある場合には、支給する労働者の範囲や計算方法などが就業規則に必ず記載されているはずですので、不安であれば早めに確認しておくのがよいでしょう。
退職金がない代わりに、月給や賞与が高い会社もある
退職金制度のない会社のなかには、退職金が出ない分、毎月の給料や賞与(ボーナス)の金額を高めに設定している会社もあります。
つまり、退職金は「給料の後払い制度」と捉えることも可能で、退職金に相当する金額を退職時にまとめて受け取るのか、それとも現役の若いときからこまめにもらっていくのかの違いであると考えることもできます。
そのため、退職金が出ないとしても、その分を毎月の給料や賞与の金額にしっかり上乗せしているのであれば、トータルで考えればとくに損はしていないのです。
逆に言えば、「退職金がないのに月給や賞与の金額も一般的」という会社の場合は、生涯年収が低い可能性があるので気をつけましょう。
「貯金ができないタイプ」の人は注意が必要
先ほど「退職金の分を月給や賞与に上乗せしているのであれば問題ない」という説明をしましたが、「貯金ができないタイプ」の人に関しては注意が必要です。
なぜなら、退職金が出ないということは老後の生活資金を自分で準備する必要があり、若いときから自分の意思でコツコツ貯蓄をしていかなければいけないからです。
退職金が出ない分普段の給料が高いとしても、そのお金を全部使ってしまえば老後の貯蓄ができず、退職後の生活は苦しいものになってしまいます。
計画的にお金を貯めることが苦手だったり浪費癖のある人は、退職金のある会社を選ぶ方が人生設計はしやすいでしょう。
入社したら「退職金なし」だった…。そんな時はどうする?
現時点で、すでに退職金制度のない会社で働いている方もいるでしょう。
そんなときに心配になるのが「老後の備え」ですが、どう対応すればよいのかを考えていきましょう。
退職金がある場合、どのくらいの金額をもらえる?
そもそも、「退職金がある会社ではどのくらいの金額をもらっているのか」をまずは確認しておきましょう。
これについても、厚生労働省の「就労条件総合調査」の中でデータが公開されています。
この調査によれば、「大学卒」「勤続年数20年以上」「定年退職」という条件に当てはまる人の退職金の平均金額は「1,983万円」です。
「高校卒」の場合でも退職金の平均金額は「1,618万円」であり、どちらも月収のおおよそ「40ヶ月分」が退職金として支払われているようです。
ほとんどの場合でこれらは老後資金として使われますが、退職金がないのであれば、これに代わる資金を自分で準備する必要があることを理解しておきましょう。
老後に備えて、自分で貯蓄をする
ここまで話してきた通り、退職金がなければ自分で老後資金を準備しなければいけませんね。
まず一般的な対応方法としては「貯蓄」が考えられるでしょう。
「具体的にどれくらいの金額を貯めておけばよいのか?」という部分ですが、金融庁からは「老後資金は2000万円必要」と発表されています。
これだけの資金を短期間で貯めることは当然難しいため、30代などの若いときから計画的に貯めていかなければいけません。
月給や賞与を全て使い切ってしまうのではなく、老後に備えてコツコツ貯めていく意識が必要不可欠となります。
個人年金や確定拠出年金に加入する
貯蓄に加えて「個人年金」や「確定拠出年金」に加入することも、老後資金を備える上で有効的な手段です。
「個人年金」とは生命保険の一種で、国民年金や厚生年金などの公的年金とは違って、私的に準備する年金のことです。
「確定拠出年金」も個人年金と同様に私的年金の一つで、「iDeCo(イデコ)」の名称でも知られています。
この2つの大きな違いですが、個人年金は「給付金額が確定している」という特徴があり、一方で確定拠出年金は運用成績次第で給付金額が変動するものの、「税制面での優遇が大きい」という特徴があります。
老後の生活資金に備える目的でこれらの私的年金に加入する人は多いので、退職金がない会社で不安を持っている人は一度検討してみることをおすすめします。
退職金制度のある会社に転職する
ここまでは自分自身で老後資金を準備する方法について説明してきましたが、「退職金制度のある会社に転職する」ことも一つの方法です。
退職金制度がない会社に比べれば月給や賞与額は下がる可能性がありますが、やはり退職時にまとまった金額を受けとれることは大きな安心感につながりますよね。
また、退職金は税制面での優遇が非常に大きい所得でもあるため、その点でも老後資金の備えとしてはメリットの大きい制度です。
「自分の意思で老後資金を貯めていくのは無理そう・・・」と考えている方や、退職金制度がないにも関わらず今もらっている給料がそこまで高くない場合には、退職金制度の整った会社を探してみるのがよいでしょう。
退職金制度があるかどうかは求人票に書かれていたり、転職エージェントを使うことで担当者から正確な情報を得ることができますよ。
実は退職金なしの会社は多い!老後に備えて今できることを考えよう
本記事でも見てきたように、退職金がないこと自体は決して違法などではなく、実際に退職金制度のない会社も数多く存在しています。
そして一番の問題は「老後の生活資金をどうするのか」という部分ですよね。
もしも退職金がない会社で働いているのであれば、老後に備えて今からできることを早めに準備していきましょう。
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