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派遣社員は、正社員やパート・アルバイトなどと異なり、直接勤め先の会社と雇用契約を交わしていません。そんな派遣社員が退職するには、どうすれば良いか悩んでしまう人も多いのではないでしょうか?
本記事では、派遣社員の退職はどのような方法でおこなうのか?また、必要な手順や注意点などについても解説していきます。
いざ退職するときに、トラブルが起こらないよう、しっかりとするべきことを覚えておきましょう。
派遣社員が退職するときのパターン
派遣社員の退職には、2つのパターンがあります。
- 契約期間の満了による退職
- 自己都合による退職
それぞれ、どのような違いがあるのかを確認していきましょう。
契約期間の満了
派遣社員が働くのは、決められた契約期間中(3ヶ月など)です。この契約期間が満了したとき、契約の更新をしなければ、その会社は退職となります。
しかし、契約期間が満了するタイミングで退職の意思を伝えることは、トラブルにつながるので避けましょう。退職意思を伝えるタイミングについては、あとで説明します。
また、労働基準法第十四条より、派遣社員の労働期間は基本的に3年までとされているので、3年を超える契約期間にもできません。
自己都合による退職
もうひとつは、自己都合による契約途中での退職となります。ただし、先に言っておきますが契約途中の自己都合による退職は、オススメできません。
なぜなら、期間を満了する前に辞めることは、契約違反となるからです。契約違反をしてしまうと、仕事を紹介してもらえなくなるなど、デメリットが発生する可能性があります。
派遣元の会社としても、派遣した社員が中途半端に退職してしまうことは、派遣先の会社との信頼関係に響くので避けたいところ。なので、派遣元の会社もよほどの理由でなければ、退職を許可しないでしょう。
もしも、どうしても自己都合で退職したい場合は、以下の例を参考にしてください。しかたのない事情を理由とすれば、退職を認めざるをえません。
- 親の介護が必要になった、または、家業を継がなければならなくなった
- 体調不良やうつで、これ以上仕事を続けられない
- 家族やパートナーの転勤で引っ越す必要ができた
など、どうやっても契約満了まで働くことが厳しい理由であることを伝えます。ただし、親のことを知られていたり、そもそも家業なんてないことが知られていたりすれば、当然怪しまれるでしょう。
また、体調不良など病気を理由にした場合も、嘘であれば診断書の提出を求められたときに、バレてしまいます。以前にひとり暮らしだと伝えていて、パートナーが転勤というのもおかしな話です。
不要な疑いを持たれないよう、アナタがこれまで会社側に与えた情報を、よく思い出してから理由を伝えましょう。
派遣社員が退職するときの流れ
続いては、「派遣社員が退職を決めてから実際に退職するまでの流れ」を説明します。どのような仕事であっても、同じ流れで退職となるので、ぜひ参考にしてみてください。
派遣元の会社に、退職に関する規約がある場合は、そちらを優先しましょう。
その1:契約更新の1ヶ月以上前に退職の意思を派遣元へ伝える
派遣社員が雇われているのは、あくまで派遣元の会社です。なので、退職の意思を伝える相手は、派遣元の会社ということになります。
さらに言えば、少なくとも契約更新の1ヶ月以上前には、伝えておくことが望ましいでしょう。なぜなら、派遣元の会社は辞めるアナタの代わりに、新しい社員を派遣しなければならないからです。
派遣元の営業担当が、定期的に派遣先へ来るようであれば、そのタイミングで伝えます。定期的に来ることがない、または、早めに伝えたい場合は電話でも大丈夫です。
絶対にしてはならないのは、会社に一切の連絡を取らず、バックレてしまうこと。派遣社員が、仕事をバックレることで起こるトラブルや注意点については、以下の記事で詳しく解説しています。
ぜひ、併せて読んでみてください。
派遣先の会社へは、派遣元の会社から退職について伝えてもらえます。派遣元の会社を通さず、自分の言葉で伝えたいという人は、派遣元の会社に相談してみると良いでしょう。
また、派遣社員が退職をする際、退職届は不要ということも覚えておいてください。ただし、口頭のみだと「言った言わない」のトラブルが発生する可能性もあります。
こちらも、気になる人は派遣元の会社に確認すると良いでしょう。
その2:引き継ぎ業務をおこなう
派遣元に退職の意思を伝えて、晴れて退職する方向に話が進んだら、続いて引き継ぎ業務をおこないます。そのために考えることは、以下の2点です。
- 自分が主体で動いている仕事はないか
- 自分しか知らない、おこなえない仕事はないか
しっかりと引き継ぐべき仕事を把握して、スムーズな引き継ぎ業務がおこなえるようにしましょう。アナタにしかできない仕事をちゃんと引き継げないと、仕事がうまく回らなくなり、派遣先に迷惑がかかります。
退職した後も、どうすれば良いか連絡がくる可能性もあるでしょう。また、引き継ぎもまともにできない社員を派遣したということで、派遣元の会社にもクレームがいくかもしれません。
そうなると、会社に迷惑をかけた社員となるので、新しい仕事の紹介も減ってしまいます。仕事が減るのは、避けたいところですよね。
立つ鳥跡を濁さず。きれいな退職ができるように、引き継ぎ業務はちゃんとおこなうことが大切です。
よりスムーズな退職を目指すのであれば、退職の話を出す前に、引き継ぐ仕事の量を把握しておくと良いでしょう。
その3:貸与物の返却や身辺整理をする
会社から借りているものは、会社の財産です。業務に必要なものは退職日に、そうでないものは早めに会社へ返却しましょう。
以下は一例ですが、何を返せば良いかわからないという人は、参考にしてみてください。
会社の資料やデータ |
制服や社員証など |
健康保険被保険者証 |
通勤定期(会社の所有物であれば) |
社費で購入したもの |
PCなど |
自分のデスクやロッカーの身辺整理は、不要なものから少しずつ片付けていくと良いでしょう。「退職する日で良いか」と思っていても、いざ片付けを始めてみると、思ったより量があったり、汚れが気になったりして時間がかかるものです。
少しずつ片付けておくことで、最終日にゴタゴタすることがなくなります。
その4:最終日にはあいさつをする
最終日には、お世話になった派遣先の人たちに対して、あいさつ回りをしましょう。直接あいさつができない相手に対しては、メールで伝えても大丈夫です。
メールであれば、いつ送っても良いと思う人もいるかもしれません。しかし、始業直後は仕事のメールチェックで忙しいもの。
メールであいさつをする場合は、始業直後は避けるのが無難です。また、読み手が疲れるような長文も控えましょう。
会社によっては、朝礼や夕礼などであいさつの場が設けられる可能性もあります。突然に話を振られる可能性もゼロではないので、あいさつの内容を事前に考えておけば安心です。
大まかな流れとしては、以下のようにすると良いでしょう。
- あいさつの機会を与えられたことへの感謝
- お世話になったことと、この会社でどう成長できたか
- 得られたスキルなどを、今後の仕事にどのように活かすか
- 締めの一言
派遣社員が退職した後の手続き
退職後、すぐに新しい職場で働けるとは限りません。その場合は、保険などの各種手続きをおこなう必要があります。
主におこなう手続きは、以下のとおりです。
- 健康保険の切り替え
- 年金の切り替え
- 税金
- 失業保険の受給
それでは順番に説明していきます。
健康保険の切り替え
派遣先の社会保険に加入していた場合は、健康保険の切り替えが必要です。保険の切り替えについては、以下のとおり。
- 会社で加入していた社会保険を任意継続する
- 国民健康保険に加入する
- 扶養に入る
3つの手続きは、期限があります。短いものでは退職後から5日で期限が切れてしまうので、早めに済ませましょう。
また、無保険状態では医療費が10割負担となり、10万円以下の罰金が発生する可能性もあります。無保険状態になることだけは、絶対に避けるべきです。
出典:国民健康保険法
年金の切り替え
年金については、厚生年金から国民年金に切り替えます。年金は、支払わないことでの罰金などはありません。
しかし、受給額が減額されるか、そもそも受給できなくなる可能性があります。将来のことを考えるならば、手続きはきちんと済ませ、しっかり年金を納めるようにしましょう。
年金の手続きは、退職後から14日で期限が切れます。うっかり忘れないよう、気をつけてください。
税金
税金についての手続きは、主に以下の2つです。
- 確定申告
- 住民税
確定申告は、退職した年の12月31日までに新しい仕事につかなかった場合、本人がおこなう手続きです。年内に転職できた場合は、会社側が年末調整をしてくれるので、確定申告は必要ありません。
しかし年内に転職しても、時期によっては年末調整が間に合わないことも。その場合も、確定申告が必要です。
住民税については、毎月給料から天引きされていた分を、2~3ヶ月ごとにまとめて納める方法に変わります。通知が届いたら、納付するようにしましょう。
失業保険の受給
必要な条件を満たしていれば、失業保険を受給できます。退職理由が、自己都合か会社都合かにより、受給できるタイミングが変わるので注意が必要です。
しかし、自己都合か会社都合か、派遣社員は分かりづらい場合があります。契約途中であればシンプルに、会社の都合で辞めさせられるか、自分の都合で辞めるかなので、理解しやすいでしょう。
では、契約満了時はなにが自己都合で、なにが会社都合となるのでしょうか?以下が、契約満了時での両者の違いです。
自己都合:契約満了後、派遣元から仕事を紹介されても働く意思がない
会社都合:契約満了後、働く意思があるのに1ヶ月以上仕事の紹介がない
以下の記事では、紹介した退職後の各手続きについて、より詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。
派遣社員の自己都合退職に関する注意点
最後は、「派遣社員の自己都合退職に関する注意点について」です。契約更新のタイミングに合わせての退職は、さきほど説明した「派遣社員が退職するときの流れ」を参考にすれば、問題ありません。
注意点1:派遣先の会社で退職の申請をしない
実際に勤めているのは派遣先の会社なので、勘違いしてしまいがちですが、派遣先の会社で退職の申請はしてはいけません。なぜなら、派遣先の会社には、派遣社員に対する人事権がないからです。
派遣元の会社に連絡がいけば、派遣元の会社も知らない情報なので、混乱が生じます。退職の申請は、実際に雇用契約を結んでいる、派遣元の会社に対しておこないましょう。
注意点2:ブラックリストに載ることがある
自己都合で退職=契約違反をするとなると、派遣元のブラックリストに載る可能性があります。そうなると、仕事をなかなか紹介してもらえなくなるかもしれません。
また、契約期間の満了で退職する場合でも、注意する点があります。それは、1回も契約更新せずに、新しい派遣先で働こうとすること。
派遣元の会社も派遣先の会社も、ある程度の回数は契約更新をして、長く働いてほしいと思っています。まったく契約更新せずに、退職を何度もするのは、仕事が長続きしない人という認識をされてしまうということです。
派遣元も仕事を紹介しづらくなるので、短期間で退職を繰り返すのは控えましょう。
注意点3:引き止められる可能性がある
期間が満了していないわけですから、派遣元の会社からは当然引き止められます。引き止めは、絶対にあるものだと覚悟をしておいたほうが良いでしょう。
その上で退職できるように、さきほど説明した「退職を認めてもらいやすい理由」を上手く伝えてください。
退職代行を利用するのも有効な手段
本来であれば、適切なタイミングで退職の意思を伝えれば、ちゃんと退職はできるものです。しかし中には、会社から引き止めや何かを言われることを恐れ、「自分から退職の意思を伝えるのがむずかしい」という人もいると思います。
そのような人は、退職代行の利用を考えてみてはどうでしょうか?退職代行であれば、直接自分から退職の意思を伝える必要もなく、スムーズに退職できます。
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