基礎知識

退職届を拒否された…。退職届を受け取らない会社を辞められる?

「退職届を会社に提出したけど受け取ってもらえない」「忙しい時に何を考えているんだと、上司に退職を拒否された」こんな悩みを持つ人も多いのではないでしょうか?

最近では、会社の都合で労働者の退職を拒否するということも増えているようです。会社側が退職届を拒否してしまったら、退職することはできないのでしょうか?

今回は、会社に退職を拒否されたときの対処法について、法律上の観点も踏まえながらわかりやすく解説していきます。

労働者には退職の自由があるって知ってましたか?

まずはじめに、日本国憲法の規定により、労働者は「職業選択の自由」そして「退職の自由」が保障されています。具体的にどのようなものか、実際に見ていきましょう。

【日本国憲法】
第18条 何人も、いかなる奴隷的拘束も受けない。又、犯罪に因る処罰の場合を除いては、その意に反する苦役に服させられない。

第22条 何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する。

引用:第三章 国民の権利及び義務(第十条~第四十条)

憲法にもこのように定められていますから、会社側が労働者の退職の意思を拒むことは、絶対にできないのです。

憲法に守られていると思うと、なんだか安心できますよね。

 2週間前までに退職の意志表示をすれば退職できる

雇用の期間の定めのない労働契約で働いている労働者(いわゆる正社員の場合)は、民法によると「いつでも」退職の申し入れをすることができると定められています。そして、申し出から2週間を経過すると契約が終了となります。

つまり、最低でも退職する2週間前までに退職届を提出するなど、退職の意思表示をすれば、会社を辞めることができるということです。

(ただし、契約社員やアルバイトなど雇用期間に定めがある人は、雇用契約の期間中の解約はできず、給与の不払い、本人の病気、パワハラなど「止むを得ない事由」がある場合に限って、”ただち”に解約できます。)

【民法】
第627条  当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。

引用:第六百二十七条 – 民法

憲法上、「退職の自由」の定めがあるので、いくら「辞められると会社が回らない」などを理由に上司や会社があなたの退職を拒んだとしても、法律上は「いつでも」退職の意思表示をすることができると定められていますから、会社側は本来拒むことはできないわけです。

そして、規定の通り退職の2週間前までに退職届を提出するなどの意思表示をきちんとすれば、退職することが可能です。

会社の就業規則に別の記載がされている場合も、法律上は上記のとおり定められているので、同様に退職することができます

ただ、法律で守られているとはいえ、「2週間後に退職します」というのは、会社にとって寝耳に水。急に退職すると伝えられると上司も不快な気持ちになって、トラブルに発展してしまう可能性も考えられます。

「上司が話すらまともに聞いてくれない」「どうしても退職届を受け取ってもらえない」というようなことでなければ、基本的には退職の1ヶ月前までには退職する旨を会社側に伝えておくようにしましょう。

退職届を受け取ってもらえなかった場合の対処法

法律上は、働く側にはいつでも退職の意思表明ができることはわかったものの、実際に退職届を出したら、受け取ってもらえないばかりか、脅迫めいた態度をとられたなんて人もいるのではないでしょうか?

  • 上司に退職届を提出したが、受け取りを拒否された。
  • 一度受け取ってもらえたが、後日返却されてしまった。
  • 上司に退職届を受け取ってもらったものの、退職についての話が何もない。
  • 「人が足りないので、辞めさせられない」など、退職を拒否された。
  • 退職するなら、給与を支払わないなど脅された。

上記のように退職届の受け取りを拒否されたり、スムーズに退職させてもらえないときはどうしたら良いか悩みますよね。しかし、ちゃんと解決策はあるので大丈夫です!一緒にみていきましょう。

退職届は直接でなくても、手紙で送ることができる

実は、手紙で退職届を出すという方法もあるのです。「退職届って直接渡さないといけないと思っていた」と驚かれるかたもいるかもしれませんが、手紙でも大丈夫です。

むしろ、手渡しよりも郵送で送付をしておいた方が、証拠になるので「受け取った、受け取ってない」ということで揉める心配がなくなるので、安心だといえます。

ただ、普通郵便で退職届を送付してしまうと、ちゃんと会社に届いたのかという証拠が残りません。しっかりと退職の意思を伝えたという証拠を残しておくために、退職届を送付するときには、内容証明郵便に配達証明をつけて送ることをおすすめします。

「退職願」ではなく「退職届」を提出しよう

それから、もうひとつ気をつけてほしいことなのですが、「退職願」と「退職届」では言葉は似通っていますが役割が大きく異なります。どのように違うのか、気になりますよね。ここで簡単に、「退職願」と「退職届」それぞれの持つ性質について説明します。

退職願

退職願は、会社側に対して契約の解除(退職)の合意を求めるためのものです。つまり、会社または経営者に対して「私を退職させてください」とお願いをしているということになります。退職願を提出したとしても、会社が承諾する前であれば、撤回すること可能です。

退職届

退職届は労働者から会社に対して退職日も明記し、「退職の意思表示」をするための書類です。つまり会社に対して「私はこの会社を○月○日に退職します」とはっきりと伝えるものが退職届です。退職届は受理されたあとは、撤回することはできません。

 

退職届には、必ず退職日を記載するのですが、日付は退職届が会社に到着した日から2週間経過後の日付を書かなくてはならないので、自宅で退職届を作成する日の日付ではなく、退職届が到着する日がいつになるのかを把握しておく必要があります。到着予定日より、少し余裕をもって書くほうが確実です。

嫌がらせをされたらどうする?

会社によってスムーズに退職を認めてくれるところ、なかなか退職を認めずパワハラめいたことをしてくるところもあるようです。例えばこのようなことが挙げられます。

  • 退職届を破り捨てられた
  • 人手が足りないときに辞めるのなら、損害賠償を払えと言われた
  • 退職届を受け取ったあとも退職を認めず、出勤するように支持された
  • 辞めるのなら給与や退職金を支払わないと言われた
  • 離職票を出してくれない

上記のような行為はすべて違法なものです。しかし、わかっていてもなかなか自分ひとりでは対処しきれないことも多いですよね。そういったときには、労働基準監督署や弁護士、退職代行サービスなど専門家に相談してみてはいかがでしょうか?

労働基準監督署に相談する

上記のようなことで悩まれているようなら、厚生労働省の出先機関である、労働基準監督署に相談するという方法もあります。

「給与の支払いをしてくれない」「退職金を支払わないと脅された」などの理由であれば、会社に対して指導を行なってくれる可能性もありますので、あまりにひどい扱いを受けているというようなことがあれば、一度相談してみるとよいでしょう。

【外部サイト】
全国の労働基準監督署の所在案内

 弁護士に相談する

前述したとおり、「給与などの支払いをしない」とか「損害賠償を払え」などという行為は法律に違反するものです。なので、法律の専門家である弁護士に相談するというのもひとつの方法です。

弁護士は、あなたの代わりに会社に退職の意思を伝える「退職代行」のサービスを行なっているところもあります。

弁護士にお願いするとなるとそれなりに料金がかかってくるので、少しハードルが高いと感じる人もいるかもしれませんね。

弁護士が行ってくれる退職代行サービスまとめ

【外部サイト】
労働問題を扱う弁護士を検索 – 弁護士ドットコム

退職代行サービスを利用する

労働基準相談所では、無料で相談に乗ってくれますが、あなたの代わりに会社に退職する意思を伝えてくれるわけではありません。

ブラック企業の場合などは、なかなか退職したいと伝えても応じてもらえなかったり、ひどい態度をとられてしまったりと、非常に大変ですよね。

そういったときにおすすめなのが、「退職代行サービス」です。退職代行サービスを利用すると、あなたの代わりに退職する意思を伝えてもらうことができます。

退職代行には、弁護士が行なっているものと、弁護士以外の業者が行っているところがあります。もしも、裁判に発展するなど会社側が法的な措置をとった場合に適切な対応ができるのは、弁護士だけです。

ただ、弁護士の提供するサービスを使用するとなると、費用は高額になることが多いので、退職代行サービスを使用するときには、料金とサービス内容を比較しどちらに依頼するかよく考えてから決めるようにしましょう。

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最後に

会社がいくら退職を拒んだからといっても、法律上は、「退職の自由」が保障されています。「みんなに迷惑をかけるのはよくないよな・・」「人が足りない状態で退職するのは人としてダメなことかも・・」と、まじめでやさしい人ほど申し訳ない気持ちになり、退職の決心が揺らぐことがあるかもしれません。

しかし、会社にはあなたの退職を拒む権利はありません。退職の申し出をしても、会社側が認めてくれない場合は、退職届を内容証明で郵送するなど対処法もあります。

もしも、上司からのパワハラがひどくてとても話を聞いてくれるような状況ではないという場合は、専門家に相談して乗り切りましょう!