基礎知識

退職時に残った有給は買い取ってもらえる?買取金額の相場はいくら?

退職時にトラブルになりやすいのが、「残った有給をどう処理するか」という問題。

退職日までに全て消化できるのであれば問題ありませんが、場合によってはそれも難しく、「使えずに消えてしまうくらいなら買い取ってほしい!」と考える人は多いですよね。

そこで今回は、退職時の有給は買い取ってもらうことはできるのか、買い取ることに違法性はないのかを解説していきます。

併せて買い取り金額の相場や、よくあるトラブル事例なども紹介していきますので参考にしてください。

退職時に残っている有給を買い取ってもらえるのか?

まずは、退職時に残っている有給を買い取ってもらうことに違法性はないのかを確認していきます。

この点について、違法となるケースとそうでないケースを正しく理解しましょう。

原則として有給の買い取りは違法

まず押さえておきたいポイントが、原則として「有給の買い取りは違法である」という点です。

なぜなら、有給休暇の本来の目的は「休みを与えることで労働者の心身のリフレッシュを図ること」であるため、その権利をお金で買い取ることは本来の目的とそれてしまうことになるからです。

もしも会社側が強制的に有給の買い取りを行ったことで、労働者が有給を取れないような状況に陥ってしまった場合、労働基準法違反となり「6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金」が課される可能性があります。

「退職時」は例外的に買い取りが可能に

前述の通り基本的には有給の買い取りは違法ですが、退職時であれば「例外的に合法」とされています。

そのため、退職時に今まで使い切れなかった有給が残っていた場合、その日数分を会社側が買い取ったとしてもそれは違法行為とはなりません。

ただし、有給の買い取りに関する法的な定めは存在しないため、たとえ労働者側から有給の買い取りを申請しても、それに対応するかどうかは会社次第である点に気をつけましょう。

有給の買い取り制度が設けられている場合は、会社の「就業規則」に定められていることが多いため、まずはそこを確認するのがよいでしょう。

退職以外に有給買い取りが認められるケース

退職時以外にも有給買い取りが合法となるケースがありますので、それについても確認しておきましょう。

【退職以外に有給買い取りが認められる2つのケース】

  • 法律で定められた日数以上の有給休暇が与えられているケース
  • 時効により消滅した有給休暇を買い取るケース

まず1つ目が「法律で定められた日数以上の有給休暇が与えられているケース」です。

有給休暇の付与日数については労働基準法で定められており、「勤続年数が1.5年なら11日分の有給」「勤続年数が2.5年なら12日分の有給」など、労働者の勤続年数に応じて付与する有給の日数が決まっています。

しかし、あくまでこれは付与しなければいけない「下限」の日数であるため、会社によってはそれ以上の日数が付与されることもあり、この法定日数を超過している日数分に関しては買い取りが認められています。

そして2つ目が「時効により消滅した有給休暇を買い取るケース」です。

有給休暇には有効期限があり、付与されてから2年を経過している有給については消滅してしまうため、消えてしまった分の有給を申請することは当然できません。

しかし、この消滅してしまう分の有給日数を会社が恩恵的に買い取る場合があり、この行為についても違法とはならないのです。

以上のように、退職時以外にも2つのケースで有給の買い取りが認められていますが、あくまで「買い取っても違法にはならない」というだけで、会社側に買い取る義務はないことを押さえておきましょう。

有給を買い取るときの相場はどれくらい?

退職時に有給を買い取ってもらえる可能性があることはわかりましたが、実際にどれくらいの金額で買い取ってもらえるのかが重要ですよね。

ここでは、有給を買い取るときの相場について解説していきます。

一般的には、有給を取得したときと同等の金額

有給を買い取るときの相場ですが、一般的には「有給を取得したときと同等の金額」で買い取るケースが多いです。

具体的には、「月給を労働日数で割った金額」が買い取り価格の基準となります。

たとえば「月給が20万円、月の労働日数は平均22日」という人であれば、「約9,000円」が買い取り価格の基準となりますね。

また、「正社員」や「契約社員」などの雇用形態に応じて、一律で買い取り価格を定めている会社もあります。

極端に低い金額でしか買い取ってくれないことも

有給の買い取り制度がある場合、一般的には上で説明したように「有給を取得したときと同等の金額」を基準とする会社が多いですが、なかには極端に低い金額でしか買い取ってくれないこともあります。

これは、有給買い取りに関してはあくまで会社ごとで定められているルールであり、法律上の制度ではないことが原因です。

そのため、会社側に提示された買い取り金額に不服がある場合でもそれを法的に罰することは難しく、労働者と会社との話し合いにより解決するしかありません。

会社に有給の買い取り制度がある場合には、就業規則で買い取り価格についてのルールが定められていることがほとんどです。

買い取り価格に関するトラブルを避けるためにも、あらかじめ確認しておくのがよいでしょう。

退職時の有給買い取りに関するおもなトラブル

前述の金額面以外にも、有給の買い取りに関して会社側とトラブルが起こる可能性があります。

実際にどんなトラブルが起こりやすいのか、おもな例を見ていきましょう。

①:有給の買い取りを会社側に拒否された

まずは、「退職時に残っている有給の買い取りをお願いしたが、会社側に拒否された」というケースについて考えてみましょう。

引き継ぎ作業などで有給消化も難しく、「どうせなら買い取ってもらってお金に換えたい」と考える人は多いですが、ここまでの内容を踏まえれば分かるように、会社側に有給を買い取る義務はありません。

そのため、会社に拒否されてしまった場合は有給の買い取りは諦めて、「どうすれば退職日までに有給を消化できるか」を考えた方がよいでしょう。

しかし、会社の就業規則上で有給買い取りに関する定めがあり、自分がその条件に問題なく該当しているケースであれば話は別です。

「就業規則で決められているルールに当てはまっているのに、自分だけ買い取りを拒否された・・・」という場合は不当な理由となりますので、その場合は有給を買い取ってもらうよう会社と交渉することが可能です。

②:有給を買い取る代わりに退職日まで出勤するよう命じられた

続いて、「有給を買い取る代わりに退職日まで出勤してほしい」と会社側からお願いされた場合の対応について考えてみましょう。

原則として有給休暇は取得時期や理由を問わず、労働者が好きな時に休みを取得できる権利です。

そのため、退職日までに残っている有給を消化するのかどうかは、基本的には労働者側が自由に決められることになっています。

つまり、会社側が退職日まで出勤することを強制することはできないため、「買い取るから出勤してほしい」という提案をされたとしても、もちろんそれを断ることが可能です。

もしも退職日まで出勤することを会社が強制した場合は、労働基準法違反となり罰則が課せられる可能性があるでしょう。

有給の買い取りが認められるのは、あくまで「労働者本人が買い取りを希望する」場合に限られることを理解しておきましょう。

③:有給の買い取りもなく、有給消化もできない

「有給の買い取りもなく、有給消化も拒否されてしまった・・・」こんな場合はどうすればよいのでしょうか。

「有給の買い取り」については会社に義務はありませんが、「有給の消化」については労働者が希望すれば、会社はそれに応じなければいけません。

そのため、有給消化を拒否された時点で法律に違反する行為であると言えるでしょう。

この場合の対応として、直属の上司の理解が得られないときは、人事部や総務部などに相談することをおすすめします。

人事部や総務部であれば法律や労務にも詳しいため、「有給消化を拒否することはできない」ことを理解していることがほとんどです。

それでも問題が解決されない場合は、各市町村にある「労働基準監督署」に相談する方法が考えられます。

ただし、労働基準監督署に相談することは「会社と対立する」ことを意味するため、基本的には社内で問題を解決することを目指していくのがよいでしょう。

退職時なら有給買い取りの可能性あり!就業規則を確認しよう

本記事で説明してきたように、退職時なら有給の買い取りは違法ではありません。

ただし、残ってしまった有給を買い取ってくれるかどうかは会社次第であり、買い取りに関する社内規定がなければ難しいのが現実です。

退職時に思わぬトラブルを招かないためにも、就業規則はしっかりと確認しておきましょう。