基礎知識

残業代はどのくらいもらえる?正しい計算方法を実例を交えて解説!

定時を過ぎても帰らずに、頑張って働いた分の見返りとしてもらえる「残業代」。

毎月とくに意識せず残業代をもらっている方が大半だと思いますが、残業代の正しい計算方法は知っているでしょうか?

正しく計算してみた結果、「もっと残業代がもらえるはずだった!」という場合もあるかもしれません。

そこで今回は、残業代の正しい計算方法について事例を交えながら解説していきます。

残業代とは「所定労働時間」を超えた労働に対する賃金のこと

残業代の計算方法の前に、そもそも残業代とは何かを正確に理解しておきましょう。

残業代とは、それぞれの会社で定められている「所定労働時間」を超えた場合に支払われる賃金のことです。

一般的なサラリーマンであれば、会社との雇用契約において一日の就業時間が定められているのが普通です。

例えば「始業時間が8:00、就業時間が17:00、休憩時間が1時間」という就業規則になっていれば、一日あたりの所定労働時間は「8時間」となります。

この所定労働時間の8時間を超えた分の労働に対する賃金が残業代です。

つまり、正しい残業代を計算するためには正確な残業時間を出せるようにしておく必要があります。

まずは、「自分の会社の所定労働時間がどう定められているのか」から確認してみると良いでしょう。

残業代の正しい計算方法【3つの要素で計算】

残業代の基本的な計算方法は、次の計算式から成り立ちます。

①残業時間 × ②1時間あたりの基礎賃金 × ③時間外労働に伴う割増率

それでは、この計算式の各要素について一つ一つ見ていきましょう。

①残業時間

残業時間は上の部分でもお話しした通り、所定労働時間を超えた分の労働時間のことを指します。

会社の就業規則で一日の労働時間が「8時間」と定められている場合であれば、9時間労働した時の残業時間は「1時間」となりますね。

また、会社が定める所定労働時間には上限がある点も併せて確認しておきましょう。

これは労働基準法によって定められているルールで、「労働時間は1日8時間、1週間で40時間まで」という上限が設定されています。

そのため、「労働時間は1日9時間とする」というような就業規則は労働基準法の上限を超えてしまっているため、違法となります。

②1時間あたりの基礎賃金

1時間あたりの基礎賃金とは、その労働者の「時給」と捉えると分かりやすいと思います。

つまり、「1時間働いた時の給料は何円なのか?」ということです。

1時間あたりの基礎賃金を出すには、「基本給 + 諸手当」を「1ヶ月の所定労働時間(会社で定められた労働時間)」で割ることで算出できます。

ただし、以下に該当する手当は諸手当から除いて計算をしてください。

  • 通勤手当
  • 住宅手当
  • 家族手当
  • 別居手当
  • 子女教育手当
  • 臨時に支払われた手当(結婚手当など)
  • ボーナス

③時間外労働に伴う割増率

時間外労働に伴う割増率とは、残業代を計算する上で「普段の労働と比べてどれだけ割り増しして賃金を支払うか」を決定するものです。

同じ残業でも、単純に定時を超えただけの残業なのか、それが休日出勤も伴うものだったのかによって、労働者の大変さは大きく変わりますよね。

そのため、会社は以下の基準に基づいて「割増賃金」を支払わなくてはいけないことが労働基準法によって決められています。

  • 時間外労働(法定労働時間を超えた労働)・・・25%以上の割増
  • 深夜労働(22:00〜5:00の間の労働)・・・25%以上の割増
  • 休日労働(法定休日の労働)・・・35%以上の割増
  • 1ヵ月60時間以上の時間外労働・・・50%以上の割増(※大企業のみ)

上記の割増率は、労働基準法によって定められている最低限の割増率です。

もしも、会社の就業規則でこの基準よりも高い割増率が設定されていればそちらが適用されますが、実際には最低限の割増率で計算をしている会社が多くなっています。

残業代の計算例【ケーススタディで解説】

ここまで残業代の基本的な計算方法について説明してきました。

それでは、実際に起こり得るケースに当てはめて残業代を計算してみましょう。

計算例①:サラリーマンAさんの場合

【サラリーマンのAさん】

  • 勤務時間:8:00〜17:00の8時間(休憩1時間)
  • 休日:土・日・祝
  • 基本給+諸手当:25万円(除外賃金を除く)
  • 今月の残業時間:50時間(主に17:00〜21:00頃)
  • 1ヶ月の所定労働時間:160時間

ケーススタディの一人目として、上記の設定で今月50時間の残業をしているAさんの残業代を計算してみます。

まず、残業代の算出方法は以下の計算式でしたね。

①残業時間 × ②1時間あたりの基礎賃金 × ③時間外労働に伴う割増率

「②1時間あたりの基礎賃金」の部分だけ計算が必要になるので、そこをまず確認していきます。

1時間あたりの基礎賃金は本文中でも説明した通り、「(基本給+諸手当)÷ 1ヶ月の所定労働時間」で算出することができます。

つまり、Aさんの場合であれば「25万円 ÷ 160時間」となり、1時間あたりの基礎賃金は「1,563円」です(計算結果は四捨五入)。

また、「③時間外労働に伴う割増率」については、Aさんの場合はとくに深夜労働や休日出勤を行なっていないため、適用されるのは25%の割増率です。

以上の内容を踏まえて、最初の計算式に当てはめればAさんの残業代を算出することが可能です。

残業時間50時間 × 1時間あたりの基礎賃金1,563円 × 割増率25%=残業代97,688円

このように、Aさんの残業代は「97,688円」と算出することができました。

計算例②:サラリーマンのBさんの場合

【サラリーマンのBさん(大企業に勤務)】

  • 勤務時間:8:00〜17:00の8時間(休憩1時間)
  • 休日:土・日・祝
  • 基本給+諸手当:25万円(除外賃金を除く)
  • 今月の残業時間:80時間(2日間の休日出勤、16時間分)
  • 1ヶ月の所定労働時間:160時間

もう一人、ケーススタディとして大企業に勤務するBさんの残業代を計算してみましょう。

Bさんは今月80時間の残業となっており、60時間を超える残業をしている点と、2日間の休日出勤もしている点に注意です。

これらの残業には通常よりも高い割増率が適用されるため、60時間を超える分の残業時間については「割増率50%」、2日間の休日出勤については「割増率35%」が適用されます。

この点を踏まえ、Bさんの残業代はいくらになるのかを計算してみましょう。

①60時間を超える残業分
残業時間20時間 × 1時間あたりの基礎賃金1,563円 × 割増率50%=残業代46,890円

②2日間の休日出勤分
残業時間16時間 × 1時間あたりの基礎賃金1,563円 × 割増率35%=残業代33,761円

③上記以外の残業分
残業時間44時間 × 1時間あたりの基礎賃金1,563円 × 割増率25%=残業代85,965円

①、②、③の合計=166,616円

Bさんの場合、残業代の金額は「166,616円」と算出することができました。

自分の残業代を正しく計算できるようにしておこう

残業代は会社が勝手に計算してくれるので、自分で計算することは普通はありませんよね。

ただし、「あんなに残業したのに、残業代はこれだけか・・・」と思った時には注意が必要です。

それが本当に正しい残業代の金額なのか、今回の内容を参考にして一度計算してみることをおすすめします。